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2006年09月17日

妄想込みの雑記--人形展「少女娼館」

本日浅草にて行われた恋月姫さんの人形展に行ってきました。
会場のそばにたまたま病院があったことから、わずか3秒で思いついた妄想。
黒男さん好きにも、人形好きの友人にも「あんた、バカァ?」と言われる事必須の妄想なので、日記にひっそりと書くに留めておきます。
以下、妄想

休日に友人が勤める病院まで行った。
幸い病院はそれほど忙しくなく、無事友人に会い用件を済ます事が出来た。
「そういえばここに来るまでに、料亭みたいな家の前になにかポスターがあったけど…あそこってギャラリーか何かなのかい?」
こじんまりとした料亭、という趣の家だったが、入り口にポスターが立てかけてあった事と、若い女性が入っていくのを目にした事が、辰巳の興味を引いた。
「何か展示会みたいなものをやっているのは何度か見たが…よくは知らないんだ。俺はギャラリーとかにはあまり興味ないしな。辰巳、興味あるんだったら帰りがけに見てみたらどうだ?」
それほど興味があるわけでもないが、この後は本屋に寄るくらいしか用事はないので、せっかくだからとその言葉に従う事にした。

さほど広い家ではないが、門から玄関まではいくらか距離があり、玄関までの間は小さいながらも日本庭園を思わせる造りになっている。時間はまだそれほど遅くないのにどこか薄暗いのは、周囲を壁に囲まれている事と、生い茂る木のせいだろう。
辰巳は入り口のポスターを改めて見た。今回の催し物は人形の展示会らしい。彼の知識では人形といえば少女達のおもちゃで、ソフトビニール製の大体20〜30cm程の大きさのものだが、この展示会の人形はどうやら違うらしい。ポスターの文面に目を入らせていると、この展示会のタイトルが目に入った。
『少女娼館』
(…………入らないほうが…いいかな…?)
タイトルに躊躇したが、まさか住宅街の真ん中でいかがわしい展示会はしないだろうという事と、先ほど入っていったのが辰巳よりも若い女性達だったので、大丈夫だろうと自分に言い聞かせながら辰巳は門をくぐった。

会場の内部も古風な造りだった。
入り口で受付の女性に入場料を払い、靴を脱いで廊下を進んでいく。ギャラリーというよりも、造りがやや古い家、と言った感じがした。
廊下を突き当たりまで行くと、すこし広めの部屋---といっても、せいぜい普通の家の客間くらいの広さだが---に、展示物はあった。
部屋の中央に置かれた台の上で、黒い薄衣の着物を着た人形が身を起こしかけている。大きさは辰巳が想像していたものよりもずっと大きく、大きさだけならば本物の幼い少女にも思えた。
(…作るの大変だろうな、これ…)
部屋の中には辰巳以外にも客はいて、展示されたもう一体の人形をのぞき込みながら一人の青年が連れの女性となにやら専門用語を交えて話している。彼ほど熱心に見ることはできないが、それでも展示された人形を一つ一つ見ていくことにした。
まったくの門外漢である辰巳だが、それでも展示物である人形が、作者のこだわりを持って作られた物である事は理解できた。好きになる事はおそらく出来ないが、辰巳には理解できない情熱、熱意がある事は理解出来るような気がした。
そう思ってこの家を見回すと、この会場もなんらかのこだわりを持っているのかも知れない。日常生活を送るには適さない構造、アンティーク売り場でしか見る事ができないような家具。作られた非日常的空間。
(…それでも、そういうのって、僕は嫌いじゃないんだよね…)
いつも古めかしい服装をしているのに、妙に合理的なところもある友人は、辰巳とは違った意見を持つかもしれないが。
眠っている顔、遠くに視線を彷徨わせている顔---など、様々な意志を感じさせる人形を何体か見たあとで、辰巳は一体の人形に視線を留めた。
その人形は人形用と思われる椅子の上に無造作に置かれていた。少女として象られ、身に纏っているのも今回の展示会のテーマに沿った和服。それなのに東洋人としてはやや薄い色素の瞳で、強い意志を込めて対峙する者をにらみ返すまなざしは…。
(…本人…いや、ピノコちゃんあたりに見せたら、何て言ってくれるかな?)
自分に似た人形がこの世に存在する、と知ったら、彼は複雑な気持ちになるだろう。実行するつもりはもちろんないので、いま見た人形の事は、辰巳一人の胸にしまっておく事にした。

当然ながら、「黒男さんを思わせる人形」が会場にあったわけではありません。
あったらいいな、という白石の妄想です。
ちなみに辰巳テンテーは、すすめられて少女小説を読んで大爆笑した剛のお方ですので、この駄文は
「捏造もいーかげんにしろ!」
と怒られそうな文章です。
とりあえず怒られるのは白石一人で充分です。

投稿者 singer-cat : 2006年09月17日 23:55

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